高校生から始める矯正治療|大学進学前に整えるメリット

「高校生になった子どもに矯正治療をさせた方がいいのだろうか?」
「大学進学までに歯並びを整えておくとどんなメリットがあるのか?」
このような疑問を抱く親御さんは少なくありません。
矯正治療は小児期に始めるのが良いとされる一方で、高校生のタイミングで始めることにも大きな利点があります。
本記事では、高校生から矯正を始めるメリット、注意点、使用される装置の種類、費用や期間の目安、大学進学との関わりまで詳しく解説します。

なぜ高校生から矯正治療を始めるのか?

高校生は永久歯がすべて生えそろい、顎の成長もほぼ安定する時期です。そのため「本格矯正」を行いやすく、治療計画を立てやすいというメリットがあります。
また、大学進学や成人式など将来的なイベントを見据え、見た目の改善を重視して矯正を選ぶ家庭も増えています。

一方で、高校生は学業や部活動に忙しい時期でもあります。通院や装置の管理に対して本人の自覚が求められるため、子ども自身が治療に前向きであることが成功のカギとなります。

高校生矯正のメリット

高校生から矯正を始めるメリットは、機能面・心理面・社会的側面の3つに大きく分けられます。まず、永久歯がすべて揃っているため、治療計画を立てやすいという点が挙げられます。抜歯や非抜歯の判断が明確になり、治療の見通しを立てやすくなります。

心理的な側面では、思春期におけるコンプレックスの解消が大きなメリットです。歯並びの改善により自信が持てるようになり、人前で話すことや笑顔を見せることに積極的になれる生徒も多くいます。さらに、大学進学や就職活動といった将来の場面で、第一印象の向上に直結します。

以下のようなポイントが特に大きな利点とされています。

① 永久歯が揃っているため治療計画が立てやすい

高校生は永久歯列が完成しているため、抜歯・非抜歯の判断や装置の選択を明確に行うことができます。小児矯正に比べ、ゴールが見えやすい治療が可能です。

② 自分で管理できる年齢

高校生は装置のケアや通院スケジュールを自分で管理できる年齢です。親の手を借りる小学生と比べて協力度が高く、治療の精度が上がることが期待できます。

③ 将来の進学・就職活動に自信が持てる

見た目の印象は面接や人間関係に大きく影響します。大学進学や社会に出る前に歯並びを整えておくことは、第一印象の向上や自信につながります。

高校生矯正のデメリット・注意点

一方で、高校生から矯正を始める場合にはデメリットや注意点も存在します。学業や部活動と並行して治療を進めるため、通院や痛みが学習効率に影響するケースがある点は無視できません。特に受験期と重なる場合には、スケジュール管理が重要です。

また、費用が高額になることも家庭にとって負担となります。装置や医院によっては100万円を超えるケースもあり、長期間の支払いが必要となる場合もあります。さらに、装置による口腔内の違和感や、スポーツ・楽器演奏への影響が出る可能性もあります。

これらを踏まえ、高校生の矯正治療は「本人のやる気」「家庭のサポート」「適切な医院選び」の3要素を意識することが成功の鍵となります。

  • 治療期間が受験勉強と重なる:通院や痛みにより勉強に集中できない時期がある。
  • 費用負担が大きい:本格矯正は100万円前後かかることもあり、家庭の経済的負担となる。
  • 部活動への影響:スポーツや楽器演奏で装置が支障になる場合がある。

これらのデメリットも、適切なスケジュール管理や装置の選択によって最小限に抑えることができます。

高校生に多い矯正装置の種類

高校生が選ぶ矯正装置にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。もっとも一般的なのはワイヤー矯正で、幅広い症例に対応可能です。

一方で、見た目を気にする高校生には裏側矯正やマウスピース型矯正が人気を集めています。裏側矯正は外から見えにくいという審美的なメリットがありますが、発音や舌への違和感が課題です。マウスピース矯正は透明で目立たず、取り外し可能ですが、装着時間を自己管理できるかどうかが成功の分かれ目になります。

装置選びは単に見た目だけでなく、学校生活・部活動・性格に合わせて検討することが大切です。

ワイヤー矯正(表側矯正)

もっとも一般的な方法で、歯の表面にブラケットを装着してワイヤーで動かします。幅広い症例に対応でき、確実な効果が期待できますが、見た目が目立つのがデメリットです。

裏側矯正(リンガル矯正)

歯の裏側に装置をつける方法で、表からは見えにくいのが大きな特徴です。審美面を重視する高校生に選ばれることも多いですが、費用が高く、発音に影響が出ることがあります。

マウスピース型矯正(インビザラインなど)

透明のマウスピースを使う矯正で、目立ちにくく取り外しが可能です。ただし装着時間を守れないと効果が出にくく、自己管理能力が求められます。

部活動や学校生活への影響

高校生の矯正治療で大きな関心を集めるのが、部活動や学校生活への影響です。特に運動部では接触プレーによる口腔内のけがのリスクがあり、マウスガードの併用が推奨されます。

文化部では、吹奏楽の管楽器演奏で一時的に支障が出るケースがあります。ワイヤー矯正では音の出し方に慣れるまで時間がかかることもありますが、多くは継続的な練習で解消されます。一方、美術部や書道部など身体的負担の少ない活動ではほとんど影響はありません。

学校生活全般においても、矯正をしていることが心理的な負担になることはありますが、近年では矯正経験者も増えているため周囲の理解が得られやすい環境になっています。

運動部の場合

サッカーやバスケットボールなどの接触のあるスポーツでは、衝撃で口内を傷つける可能性があります。マウスガードを併用することで安全性を高められます。

文化部の場合

吹奏楽の管楽器演奏では、装置の違和感から演奏しにくくなることがありますが、時間が経てば慣れることがほとんどです。マウスピース矯正であれば、演奏時に外すことも可能です。

高校生矯正の治療期間と費用の目安

高校生矯正は本格矯正に分類されるため、治療期間や費用は長期的かつ高額になる傾向があります。一般的に治療期間は2〜3年程度、費用は70〜150万円前後が目安とされます。

ただし、装置の種類や医院の方針によって差が出ることがあります。裏側矯正は費用が高くなる傾向にあり、マウスピース矯正は管理能力によって治療期間が長引く可能性もあります。

契約時には「トータル費用」や「追加料金の有無」を必ず確認することが大切です。見積もりの段階で将来的な保定費用も含めて把握しておくと安心です。

装置の種類治療期間費用相場
ワイヤー矯正2〜3年70〜100万円
裏側矯正2〜4年100〜150万円
マウスピース矯正1.5〜3年80〜120万円

費用は医院によって差があり、分割払いやトータルフィー制を採用している場合もあります。契約前に総額を確認することが重要です。

大学進学前に矯正を終えるメリット

大学進学を控える高校生にとって、矯正治療を早めに終えておくことは大きなメリットとなります。まず、入学時の第一印象を良くし、自信を持って新しい環境に飛び込めるようになります。就活や人間関係においてもプラスの効果が期待できます。

また、大学生活はアルバイトや一人暮らしなどで生活リズムが不規則になりやすく、通院が難しくなるケースも少なくありません。そのため、高校生のうちに治療を終えることで、生活の変化に左右されずに済むという利点があります。

進学後は留学や就職活動といった多忙なイベントが続くため、事前に矯正を完了しておくことが、将来の大きな安心材料になります。

高校生矯正を成功させるためのポイント

高校生の矯正を成功に導くには、本人の意識と家庭の支援が欠かせません。特に装置のケアや通院の継続は本人の自覚に依存する部分が大きく、モチベーションを維持する工夫が重要です。

親は治療の重要性を一緒に理解し、費用やスケジュールの面でサポートすることが求められます。また、受験や部活動などライフイベントと治療計画を両立させる視点も必要です。

本人・家庭・歯科医院が三位一体となって治療を進めることで、よりスムーズかつ効果的に矯正を完了することができます。

  • 装置のケア:歯磨きを徹底し、虫歯や歯肉炎を防ぐ。
  • 通院の継続:調整を怠ると治療が長引くため、計画的に通院する。
  • スケジュール管理:受験や部活との両立を考えて治療計画を立てる。
  • 親のサポート:治療費や通院の送迎、精神的なフォローが大切。

まとめ

高校生から矯正治療を始めることには、永久歯列が完成していることや自己管理ができることなど多くのメリットがあります。
大学進学前に歯並びを整えておくことで、自信を持って新しい環境に臨むことができ、将来の就職活動にもプラスの影響を与えます。
費用や期間の目安を理解し、子どもの生活スタイルに合わせた装置を選択することで、矯正治療はより成功に近づきます。
後悔のない選択をするために、複数の医院で相談し、納得のいく計画を立てることが大切です。

よくある質問(高校生の矯正治療)

Q1. 高校生から矯正を始めても遅くないですか?

決して遅くはありません。高校生は永久歯が揃い、顎の成長が安定しているため治療計画を立てやすい時期です。大学進学や成人式など将来の節目に向けて、見た目と機能を整えるのに適したタイミングといえます。

Q2. 矯正治療は受験勉強に影響しますか?

矯正治療は通院が1〜2か月に1回程度なので、受験勉強に大きな支障はありません。ただし装置調整直後は数日間、痛みで集中しづらいこともあります。スケジュールを前もって調整すれば、勉強と両立可能です。

Q3. 部活動に影響はありますか?

ほとんどの部活動は続けられます。接触の多いスポーツではマウスガードを使用することで安全性を高められます。吹奏楽などの文化部では、演奏に慣れるまで時間がかかることもありますが、多くの生徒は問題なく続けています。

Q4. 高校生矯正にかかる費用はどのくらいですか?

装置の種類によりますが、ワイヤー矯正で70〜100万円、裏側矯正で100〜150万円、マウスピース矯正で80〜120万円程度が目安です。医院によっては分割払いやトータルフィー制を採用している場合もあります。

Q5. 大学進学後に矯正を始めるのと何が違いますか?

大学進学後は一人暮らしやアルバイトで忙しくなり、通院が不規則になりがちです。高校生のうちに治療を終えておけば、大学生活や就職活動を矯正に左右されずに過ごせるメリットがあります。

Q6. 治療中に写真撮影(卒業アルバムや成人式)に影響はありますか?

ワイヤー矯正は装置が写り込むことがありますが、マウスピース矯正や裏側矯正を選べば目立ちにくくなります。また、写真撮影のタイミングに合わせて一時的に外すことを相談できる場合もあります。