医院の方へ 歯科医院を探す
一般歯科治療

歯科で行う知覚過敏の治療|薬剤塗布からコーティング・神経の処置まで

一般歯科治療 歯科で行う知覚過敏の治療|薬剤塗布からコーティング・神経の処置まで みんなの歯科navi

「知覚過敏で歯科に行っても、大したことはしてもらえないのでは」——受診をためらう理由として、こうした考えをよく聞きます。実際には知覚過敏に対する処置は複数あり、しかもその多くが保険の適用範囲にあります。市販の歯みがき剤で改善しなかった人でも、歯科での処置で症状が落ち着くことは珍しくありません。

この記事では、歯科医院で行われる処置を負担の小さい順に整理し、それぞれの内容・費用の目安・通院回数を示します。あわせて「神経を取れば治る」という考え方がなぜ最終手段として扱われるのかについても説明します。受診前に何が行われるかを知っておけば、説明を受けたときの判断もしやすくなります。

この記事の要点
  • 治療は負担の小さいものから段階的に進めます。いきなり削ったり神経を取ったりすることはありません。
  • 第一選択は薬剤や高濃度フッ化物の塗布。保険適用で、1回数百円程度から受けられます。
  • それでも改善しない場合は露出部を樹脂で覆う処置へ。物理的に刺激を遮断します。
  • 食いしばりが背景にあるなら噛み合わせの調整やナイトガードが根本的な対応になります。
  • 抜髄(神経を取る)は最終手段。神経を失った歯はもろくなるため、他の方法を尽くしてから検討されます。

治療は段階的に進む

知覚過敏の治療の基本方針は明確です。歯を削らない方法から試し、効果が不十分なら次の段階へ進む——この順序が守られます。理由は単純で、削ったり神経を取ったりする処置は後戻りができないためです。まずは検査で原因を特定し、それに応じた段階から入ります。

図解① 治療の段階 治療の段階 ① 薬剤・高濃度フッ化物の塗布  削らない・保険適用 ② コーティング・レジン充填  露出部を樹脂で覆う ③ 噛み合わせの調整・ナイトガード  力の集中を減らす ④ 歯ぐきへの処置  退縮が大きい場合 ⑤ 抜髄(神経を取る)  最終手段
上ほど負担が小さく、下ほど後戻りが難しくなります。上から順に試すのが原則です。

第1段階:薬剤・高濃度フッ化物の塗布

最初に行われるのが、しみている部分に薬剤を塗る処置です。市販の歯みがき剤に含まれるものより作用の強い薬剤を、歯科医師や歯科衛生士が直接塗布します。象牙細管の入口をふさぎ、刺激が神経に伝わりにくい状態をつくることが目的です。

1回で完結するものではなく、数回繰り返して効果を確かめていくのが一般的です。痛みを伴わず短時間で終わるため、クリーニングと同じ日に受けられることもあります。高濃度のフッ化物は象牙細管の封鎖に加えて再石灰化を助け、露出した歯根の虫歯予防も兼ねられます。

第2段階:コーティング・レジン充填

薬剤の塗布で十分な効果が得られない場合、露出した象牙質を樹脂の材料で物理的に覆います。歯の根元がくさび状に欠けている場合は、その凹みを樹脂で埋める処置になります。刺激そのものを届かなくするため、効果は塗布より確実です。

ただし、歯ブラシが当たる部位のため材料が少しずつ摩耗し、数年で再度の処置が必要になることがあります。また樹脂を接着するために表面をわずかに整えることがあり、その意味では完全に削らない処置とは言えません。それでも失う歯質はごくわずかです。

処置所要時間通院回数費用の目安持続
薬剤・フッ化物の塗布5〜15分1〜数回保険適用(数百円〜)数か月ごとに再塗布
コーティング10〜20分1回保険適用の場合が多い数か月〜1年
レジン充填20〜40分1回保険適用の場合が多い数年
噛み合わせの調整10〜30分1〜数回保険適用原因が続けば再調整
ナイトガード型取り+装着2回条件により保険適用数年(要調整)
歯ぐきへの外科処置症例による複数回自費になることが多い長期
費用と保険適用の可否は診断内容と医院によって異なります。実際の金額は受診先でご確認ください。

第3段階:噛み合わせの調整とナイトガード

ここが見落とされやすい段階です。特定の歯にだけ強い力がかかっていると、歯の根元に負担が集中して欠けや微細な損傷が生じ、しみる症状につながります。この場合、歯の表面をいくら処置しても原因が残り続けるため、症状は繰り返します。

対応としては、噛み合わせを少し調整して力の当たり方を均等にする方法と、就寝中の歯ぎしりに対してナイトガードを使う方法があります。日中に無意識で食いしばっている人も多く、その場合は気づくための工夫も並行して行います。詳しくは食いしばり・ストレスで知覚過敏になる?くさび状欠損との関係と歯医者で治せる歯ぎしりとマウスピース治療をご覧ください。

第4段階:歯ぐきへの処置

歯ぐきの退縮が大きく、歯根が広い範囲で露出している場合には、外科的に歯ぐきを回復させる処置が選択肢になることがあります。ただし適応は限られ、自費になることが多い処置です。

より一般的なのは、まず退縮の進行を止めることです。背景に歯周病があれば歯周治療を行い、強すぎるブラッシングが原因であれば磨き方を修正します。下がった歯ぐきが自然に戻ることは基本的にないため、これ以上進ませないという発想が現実的です。詳細は歯ぐきが下がって歯の根元がしみる|原因とケアと歯周病とは?初期症状から重症化までの流れにまとめています。

なぜ抜髄が最終手段なのか

神経を取ってしまえば、しみる感覚そのものがなくなります。確実に痛みは消えるため、一見すると合理的な解決に思えるかもしれません。しかし歯科では、知覚過敏を理由とした抜髄はきわめて例外的な選択とされています。

抜髄後に起こりうること内容
歯がもろくなる栄養と水分の供給が絶たれ、割れやすくなる
変色することがある時間の経過とともに歯が暗く見えることがある
異常に気づきにくくなる痛みを感じないため、虫歯の進行を自覚できない
通院回数が増える根管治療は4〜8回程度かかる
被せ物が必要になることが多い歯を保護するため追加の費用と期間がかかる
これらのリスクを踏まえ、他のあらゆる方法を試したうえで検討される処置です。

つまり、しみる症状を消すために歯の寿命そのものを縮めてしまう可能性があるということです。日常生活に著しい支障があり、他の処置をすべて試しても改善しない場合に限って検討されます。根管治療の実際は根管治療は何回かかる?通院回数と期間の目安で扱っています。

受診から改善までの流れ

実際の通院がどう進むかを整理します。原因によって前後しますが、おおむね次のような流れになります。

図解② 受診から改善までの流れ 受診の流れ 1 初診・検査 原因の特定 2 薬剤塗布 同日に可能な場合も 3 2週間後に再評価 効果を確認 4 次の段階 or 経過観察 改善なければ充填等へ セルフケアの見直しは初診の段階から並行して行います。
多くは数回の通院で方針が定まります。原因が歯周病や食いしばりの場合は期間が長くなります。

大切なのは、処置を受けたら終わりではないという点です。原因となっている習慣が続いていれば症状は戻ります。歯科での処置と並行して、磨く力や酸性の飲食のとり方を見直すことで、はじめて安定します。自宅でできることは自宅でできる知覚過敏の対処と市販薬の限界に、全体像は知覚過敏とは?しみる原因・治し方・歯科での治療を徹底解説にまとめています。予防のための定期的なクリーニングは歯医者で行う予防歯科をご覧ください。通える範囲の歯科医院はエリアから探すことができます。

まとめ

知覚過敏の治療は、薬剤の塗布という削らない処置から始まり、効果が不十分なら樹脂によるコーティングや充填、さらに噛み合わせの調整へと段階的に進みます。多くが保険の適用範囲にあり、1回あたりの負担も小さいものです。「行っても何もしてもらえない」ということはありません。

そして最も重要なのは、原因に応じた段階から入ることです。食いしばりが背景にあるのに歯の表面だけ処置しても症状は繰り返しますし、歯ぐきの退縮が進行中であれば止める手を打たなければ改善しません。神経を取る処置は痛みを確実に消せますが、歯の寿命を縮める代償を伴うため最終手段に位置づけられています。市販品で改善しなかった方こそ、一度検査を受けて原因を確かめる価値があります。

よくある質問

Q
知覚過敏の治療に保険は使えますか?
A

薬剤や高濃度フッ化物の塗布、露出した部分を樹脂で覆う処置、噛み合わせの調整などは保険適用となる場合が多くあります。ナイトガードも条件を満たせば保険で作製できることがあります。一方、歯ぐきの退縮に対する外科的な処置は自費になることが多いです。適用の可否は診断内容によりますので、受診時にご確認ください。

Q
1回の通院で治りますか?
A

軽度であれば薬剤の塗布1回で楽になることもありますが、通常は2週間ほど空けて効果を確認し、必要に応じて次の処置に進みます。原因が食いしばりや歯周病にある場合は、そちらへの対応も並行するため数か月かかることがあります。初診時に見通しを確認しておくとよいでしょう。

Q
歯を削られることはありますか?
A

第一選択は削らない薬剤の塗布です。効果が不十分で樹脂を詰める処置に進む場合、接着のために表面をわずかに整えることがありますが、失う歯質はごくわずかです。歯の根元がくさび状に欠けている場合は、その凹みを埋める処置になります。心配であれば「できるだけ削らない方針で相談したい」と伝えてください。

Q
薬を塗ったのにまたしみるようになりました
A

薬剤による効果は永続的なものではなく、日々の飲食や歯みがきで少しずつ失われていきます。数か月ごとの再塗布が必要になることは珍しくありません。ただし短期間で戻る場合は、原因となっている習慣が続いている可能性があります。磨く力、酸性の飲食の頻度、食いしばりの有無を見直し、必要なら次の段階の処置を相談してください。

Q
神経を取ってしまえば楽になりますか?
A

痛みは確実になくなりますが、おすすめできません。神経を失った歯は栄養と水分の供給が絶たれてもろくなり、将来的に割れるリスクが上がります。変色することもあり、虫歯が進行しても痛みで気づけなくなります。日常生活に著しい支障があり、他のあらゆる処置を試しても改善しない場合に限って検討される最終手段です。

Q
ナイトガードは必ず必要ですか?
A

食いしばりや歯ぎしりが原因として関わっている場合の選択肢です。すべての知覚過敏に必要なわけではありません。ただし歯の根元が欠けている、朝起きたときに顎がだるい、歯の噛む面がすり減っているといった所見があれば、原因として力の問題が疑われます。歯の表面の処置だけでは繰り返すため、こちらへの対応が根本的な解決につながります。

Q
治療後、どのくらいで効果を感じますか?
A

薬剤の塗布であれば数日から2週間程度で変化を感じることが多いとされます。樹脂で覆う処置は物理的に刺激を遮断するため、その日のうちに違いが分かることもあります。一方、噛み合わせの調整や歯周治療が必要なケースでは、原因が改善するにつれて徐々に楽になるという経過をたどります。

Find your dentist

歯科医院・クリニックを探す

エリアから探す