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生活習慣・機能改善

顎関節症のスプリント(マウスピース)治療|効果・費用・保険

生活習慣・機能改善 顎関節症のスプリント(マウスピース)治療|効果・費用・保険 みんなの歯科navi

顎関節症で歯科を受診すると、「マウスピースを作りましょう」と提案されることがあります。歯科で使われるマウスピース状の装置にはスプリントという呼び名があり、歯ぎしり用のナイトガードやいびき用の装置とは目的も形も異なります。ところが名称が似ているため、何のために作るのかが伝わりにくいという事情があります。

この記事では、スプリントが顎関節症に対して何をしているのかを整理したうえで、歯ぎしり用・いびき用との違いを比較表で示します。あわせて保険適用と費用の目安、装着期間と通院の実際、「顔が変わる」という話の実際、そして合わないときの対応までを解説します。

この記事の要点
  • スプリントの役割は歯と顎関節を力から守り、咀嚼筋の緊張を緩めること。噛み合わせを作り変える装置ではありません。
  • 顎関節症用・歯ぎしり用・いびき用は別物です。特にいびき用は下顎を前に出す設計で、顎関節症には適しません。
  • 多くは保険適用。3割負担で作製3,000〜6,000円程度が目安です。
  • 装着は主に就寝中。数週ごとに調整し、経過を見ながら装着期間を判断します。
  • 「顔が変わる」のは主に筋肉の緊張がゆるむことによる印象の変化。骨格が変わるわけではありません。

スプリントは何をしているのか

顎関節症の治療で使われるスプリントは、多くの場合上顎または下顎の歯列全体を覆う、平らな噛み合わせ面を持つ装置です。歯型を採って個別に作製します。役割は主に三つあります。

ひとつは、歯ぎしりや食いしばりの力が歯や顎関節に直接伝わるのを防ぐこと。二つ目は、装置の平らな面によって顎が特定の位置に固定されにくくなり、咀嚼筋が過度に緊張し続ける状態から解放されやすくなること。三つ目は、装置を入れているという感覚そのものが、無意識の食いしばりに気づくきっかけになることです。

ここで押さえておきたいのは、スプリントは噛み合わせを作り変えるための装置ではないという点です。あくまで一時的に力を逃がし、筋肉を休ませるための可逆的な手段であり、外せば元の状態に戻ります。この「元に戻せる」という性質こそが、顎関節症の治療で早い段階に選ばれる理由です。治療全体の流れは顎関節症の治し方|歯科で行う治療の流れと期間をご覧ください。

図解① スプリントが力を受け止める仕組み スプリントの役割 装置なし 力が歯と関節に直接かかる 筋肉の緊張が続く スプリント 装着した状態 装置が力を受け止め分散する 筋肉が緊張から解放されやすい
模式図です。装置は歯列全体を覆い、噛み合わせ面が平らに作られています。

歯ぎしり用・いびき用との違い

歯科で作るマウスピース状の装置は複数あり、混同されがちです。特に注意したいのが、いびき・睡眠時無呼吸に使う装置との違いです。こちらは下顎を前方に出した位置で固定する設計のため、顎関節に負担がかかることがあり、顎関節症の症状がある方には慎重な判断が必要になります。

装置主な目的形の特徴装着時間顎関節症との関係
顎関節症用スプリント顎関節と筋肉の負担を減らす噛み合わせ面が平ら。歯列全体を覆う主に就寝中治療として用いる
歯ぎしり用ナイトガード歯のすり減りや破折を防ぐ厚みがあり歯を保護する就寝中目的が近く兼ねる場合もある
いびき・無呼吸用装置気道を広げる下顎を前方に出して固定する就寝中顎関節に負担がかかることがある
スポーツ用マウスガード外傷から歯と顎を守る厚く弾力がある競技中治療用ではない
目的が違えば設計も異なります。既に別の装置を使っている場合は、必ず担当医に伝えてください。

歯ぎしり用の装置については歯医者で治せる歯ぎしりとマウスピース治療で、いびき用の装置についてはいびきは歯医者で治せる?スリープスプリントの効果で詳しく扱っています。名称が似ていますが、いびき用の「スリープスプリント」と顎関節症用の「スプリント」はまったく別の装置です。いびきの種類と背景はいびきの種類と原因もご覧ください。

保険適用と費用

顎関節症の診断に基づいて作製するスプリントは、多くの場合保険が適用されます。自費で高額な装置を勧められるケースは一般的ではありません。

項目内容費用の目安(3割負担)
初診・検査問診、触診、開口量測定、レントゲン2,000〜4,000円
型取り歯型を採る装置代に含まれることが多い
スプリント作製・装着技工所で製作し、口の中で調整3,000〜6,000円程度
調整・経過観察装着感と症状を確認して微調整1回数百〜千円程度
破損・紛失時の再作製状況により再度作製条件により保険適用
一般的な目安です。適用の可否と実際の金額は診断内容と医療機関によって異なります。

保険診療と自費診療の考え方は保険診療と自費診療の違いとはにまとめています。

装着期間と通院の流れ

スプリントは作って終わりではありません。装着後に口の中で当たり方を調整し、症状の変化を見ながら使い方を決めていきます。

時期行うこと
1回目診察・検査・型取り
2回目(1〜2週間後)装着と噛み合わせの調整。使い方の説明
3回目(2〜4週間後)症状の変化と装着感を確認して微調整
以降1〜3か月ごとに経過観察
医院の方針や症状によって回数は変わります。

装着するのは主に就寝中です。日中に強い食いしばりがある場合、一時的に日中の装着を指示されることもありますが、長時間つけ続けると噛み合わせが変化する可能性があるため、自己判断で装着時間を延ばさないようにしてください。使用期間についても、症状が安定したら段階的に減らしていくのか継続するのか、担当医と確認しておくとよいでしょう。

「顔が変わる」という話の実際

スプリントを使うと顔が変わる、小顔になる——こうした情報を目にした方もいるでしょう。実際に印象が変わったと感じるケースはありますが、その中身は骨格の変化ではなく、筋肉の状態と生活習慣の変化によるものと考えるのが妥当です。

言われること実際に起きていると考えられること
エラが小さくなった過度に使われていた咀嚼筋の緊張がゆるみ、張りが減った
顔の左右差が減った片側噛みが減り、左右の筋肉の使われ方が均等に近づいた
表情がやわらいだ痛みや食いしばりから解放されたことによる変化
輪郭そのものが変わった骨格が短期間で変わることは考えにくい
感じ方には個人差があります。見た目の変化を目的とした装置ではありません。

重要なのは、スプリントは美容目的の装置ではないということです。顎関節症の症状を改善するために作るものであり、見た目の変化を約束するものではありません。輪郭を目的に装置を求めるのは適切ではありません。

合わないと感じたときは

装着し始めた時期は違和感があるのが普通です。ただし次のような場合は、我慢せず相談してください。

  • 特定の歯だけが強く当たる:調整で解消できます。
  • 朝、噛み合わせがずれた感じが続く:装着時間や設計の見直しが必要な場合があります。
  • 痛みが装着前より強くなった:すぐに相談してください。
  • 外れやすい・きつすぎる:適合の調整が必要です。
  • 数か月使っても変化がない:原因の見立てを再検討する段階かもしれません。

なお装置は毎日洗って乾かし、熱湯や食洗機は避けてください。変形の原因になります。顎関節症の全体像は顎関節症とは?症状セルフチェック・原因・歯科での治療法を徹底解説、避けるべき行動は顎関節症でやってはいけないこと8つをご覧ください。通える範囲の歯科医院はエリアから探すことができます。

まとめ

顎関節症のスプリントは、歯と顎関節を力から守り、咀嚼筋の緊張を緩めるための装置です。噛み合わせを作り変えるものではなく、外せば元に戻る可逆的な手段であるため、治療の早い段階で選ばれます。多くは保険適用で、3割負担なら作製3,000〜6,000円程度が目安です。

注意したいのは、いびき用の装置とは目的も設計もまったく異なるという点です。いびき用は下顎を前に出して固定するため、顎関節症の症状がある方には慎重な判断が必要になります。名称が似ているだけに、他の装置を使っている場合は必ず伝えてください。また「顔が変わる」という話は筋肉の緊張がゆるむことによる印象の変化が中心で、見た目を目的に作る装置ではありません。装着後に強い痛みが出た場合や、数か月使って変化がない場合は、我慢せず相談してください。

よくある質問

Q
顎関節症のスプリントに保険は使えますか?
A

顎関節症の診断に基づいて作製する場合、多くは保険が適用されます。3割負担で作製3,000〜6,000円程度が目安で、初診の検査費用や装着後の調整料が別途かかります。適用の可否や実際の金額は診断内容と医療機関によって異なりますので、受診時にご確認ください。

Q
歯ぎしり用のマウスピースと同じものですか?
A

目的が近いため兼ねる場合もありますが、設計の考え方は異なります。顎関節症用のスプリントは噛み合わせ面が平らに作られ、顎が特定の位置に固定されにくくすることで筋肉の緊張を緩める狙いがあります。歯ぎしり用は歯のすり減りや破折を防ぐことが主目的です。どちらが適切かは診断によります。

Q
いびき用のマウスピースを使っていますが顎が痛みます
A

いびきや睡眠時無呼吸に使う装置は、下顎を前方に出した位置で固定する設計のため、顎関節に負担がかかることがあります。顎の症状が出ている場合は、作製した医療機関に相談してください。顎関節症用のスプリントとは目的も形もまったく別の装置ですので、自己判断で使い分けないでください。

Q
いつまで装着し続ける必要がありますか?
A

症状の変化を見ながら判断します。一般的には数か月装着して経過を見て、症状が安定すれば段階的に減らしていくこともあれば、食いしばりが続く方は継続することもあります。自己判断で中止したり、逆に装着時間を延ばしたりせず、経過観察の中で相談してください。

Q
日中もつけたほうが効果がありますか?
A

自己判断で装着時間を延ばさないでください。長時間つけ続けると噛み合わせが変化する可能性があります。日中に強い食いしばりがある場合、一時的に日中の装着を指示されることはありますが、それは診断に基づく判断です。基本は就寝中の使用と考えてください。

Q
スプリントで顔が小さくなりますか?
A

見た目の変化を目的とした装置ではありません。印象が変わったと感じるケースはありますが、その中身は過度に使われていた咀嚼筋の緊張がゆるんで張りが減ったことによるものと考えられ、骨格が短期間で変わるわけではありません。輪郭を目的に作製を求めるのは適切ではありません。

Q
装着すると違和感がありますが慣れますか?
A

多くの方は数日から数週間で慣れます。ただし特定の歯だけが強く当たる、朝に噛み合わせがずれた感じが続く、装着前より痛みが強くなったという場合は調整が必要ですので我慢せず相談してください。また外れやすい・きつすぎるといった適合の問題も調整で解消できます。

Q
お手入れはどうすればよいですか?
A

使用後は流水と歯ブラシで軽く洗い、水気を切って乾かしてから保管してください。熱湯や食洗機、直射日光は変形の原因になるため避けます。専用の洗浄剤を使う場合は、装置の材質に適したものかを確認してください。汚れやにおいが気になる場合は通院時に相談を。

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