「歯科のクリーニング(PMTC)っていくらする?保険は使えるの?」という疑問に、見積の読み方から相場・年間コストの考え方まで一気に答えます。結論として、PMTCは原則として自費診療で、1回あたりの相場は5,000〜15,000円前後が目安です(内容や時間で増減)。一方で、歯周病の治療としての歯石除去などは保険が適用される場合があります。
PMTCの費用の全体像(まず知っておきたい基本)
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、専用器具でバイオフィルム・歯石・着色を徹底除去し、歯面を滑沢に仕上げる「プロの清掃」です。費用は、施術時間(30分/45分/60分)、使用機材(エアフロー等)、仕上げ(フッ化物塗布やコーティング)の有無で変動します。
相場は地域や医院のメニュー設計で差が出ますが、一般的にはライト(30分)5,000〜8,000円、スタンダード(45〜60分)8,000〜12,000円、プレミアム(60分+追加オプション)12,000〜15,000円台がよく見られます。初回は検査・画像撮影費が別途になることもあるため、トータルでの見積を確認しましょう。
料金に含まれやすい/別料金になりやすい項目
同じ「PMTC◯円」でも内訳が医院ごとに異なります。以下を参考に、何が含まれるか事前に確認すると費用ブレを防げます。
- 含まれやすい:染め出し・プラーク除去、歯石除去の一部、研磨、仕上げのフッ化物塗布、ホームケア指導
- 別料金になりやすい:レントゲン/口腔内写真、歯周検査の精密計測、エアフロー/GBT、知覚過敏抑制ペースト、強力なステイン除去
保険適用の考え方:PMTCは原則自費/保険でできる処置との違い
日本の公的医療保険では、病気の診断・治療が目的の処置に適用されます。PMTCは「予防・審美寄りの専門清掃」であるため、原則として保険適用外(自費)です。ただし、同じ来院時に歯周病治療としてのスケーリング(歯石除去)やルートプレーニング等が必要と診断された場合は、その治療部分に保険が適用されることがあります。
つまり、病気の治療(保険)と予防目的のPMTC(自費)は線引きされ、同日に実施できる範囲や請求区分が異なります。初回カウンセリングで、何が保険、何が自費になるのかを明確にしておくと安心です。
保険で認められやすい処置の例
歯周病の診断に基づく歯石除去(スケーリング)、歯周ポケット内の処置(SRP/ルートプレーニング)、歯周検査・再評価などは保険対象となることがあります。適用の可否は診断と記録(検査所見)に基づきます。
自費診療の相場とメニュー例(時間別・内容別)
自費のPMTCは、時間と内容で価格が設計されることが多いです。所要時間が長いほど、歯面の仕上がりや着色除去の徹底度、追加オプションのカバー範囲が広がります。以下は代表的な目安です。
実際の表示価格は税込・税別やキャンペーンで見え方が変わることもあるため、予約前に合計額と含まれる工程を確認してください。
時間別・内容別 相場の目安
医院や地域によって差はありますが、比較の起点にできる参考レンジです。
メニュー例 | 所要時間 | 含まれやすい内容 | 相場の目安 |
---|---|---|---|
ライトPMTC | 30分 | 染め出し、表面のプラーク除去、軽い研磨、簡易指導 | 5,000〜8,000円 |
スタンダードPMTC | 45〜60分 | 歯石除去の一部、ステイン除去、研磨、フッ化物塗布、指導 | 8,000〜12,000円 |
プレミアムPMTC | 60分+ | エアフロー/GBT、強い着色除去、コーティング、写真で経過管理 | 12,000〜15,000円台 |
※価格は目安。検査・画像、歯周精密検査、知覚過敏処置等は別途となることがあります。
初回〜年間コストを把握する(シミュレーション)
1回あたりの費用だけでなく、年間のトータルコストで考えると計画が立てやすくなります。頻度は口腔内リスクに合わせて3〜6か月ごとが目安のため、年2〜4回の通院を想定して試算すると現実的です。
初回は検査費用が加算されることが多く、2回目以降はPMTCのみの料金で安定します。以下は代表的なケースの概算です(実費は医院により変動)。
ケース別・年間コストの目安
ライト/スタンダード/プレミアム、それぞれの頻度別に概算を比較します。
ケース | 頻度 | 初回概算 | 2回目以降(1回) | 年間概算(初回+残回数) |
---|---|---|---|---|
ライト30分(低リスク) | 6か月ごと(年2回) | 8,000円(検査含む仮定) | 6,000円 | 8,000+6,000=14,000円/年 |
スタンダード60分(中リスク) | 4か月ごと(年3回) | 12,000円 | 10,000円 | 12,000+10,000×2=32,000円/年 |
プレミアム60分+(高リスク) | 3か月ごと(年4回) | 15,000円 | 12,000円 | 15,000+12,000×3=51,000円/年 |
※上記は一例。歯周治療が必要な場合は保険治療費が別途発生し、PMTCは自費で加算されます。医院の料金表・見積書でご確認ください。
費用が変動する要因と見積時の注意点
費用差が生まれる主因は、施術時間と内容の広さ、機材(エアフロー/GBT)、追加オプション、初回検査の有無です。特に「PMTC◯円」とだけ書かれている場合は、含まれる工程・含まれない工程を確認しないと、当日に追加費が発生することがあります。
また、保険治療と自費PMTCが同日に絡むと会計が複雑になることがあります。保険の適用範囲、同日算定の可否、再診料の扱い、写真撮影の料金など、事前に文書で確認しておくと安心です。
見積で確認したいチェックリスト
受付やカウンセリング時に、次の点を項目別に確認しましょう。
- 施術時間と含まれる工程(歯石除去の範囲、エアフロー、フッ化物塗布)
- 初回の検査・画像撮影費の有無と金額
- 追加オプション(強いステイン除去、知覚過敏対策)の料金
- 保険治療(歯周治療)を併用する場合の区分と合計額
- 所要回数・推奨頻度と、年間コストの見込み
節約しつつ効果を高めるコツ(ホームケア×頻度の最適化)
最もコスパの良い方法は、ホームケアの質を上げて通院間隔を最適化することです。就寝前のフロス・歯間ブラシ、染め出しでのセルフチェック、色の濃い飲食後の水リンス、喫煙の見直しは、再付着・再着色を遅らせ、PMTCの持続を伸ばします。
また、医院のメンテナンス会員制度や回数パックを活用すると、1回あたりの単価が下がることがあります。必要以上に長いメニューを選ばず、口腔状態に合わせた長さ・内容へ微調整できる医院を選ぶと、費用対効果が高まります。
ホームケアで費用対効果を伸ばすポイント
以下を習慣化すると、PMTCの頻度を無理なく最適化できます。
- 夜は「歯磨き→フロス/歯間ブラシ→仕上げ磨き」の順で丁寧に
- 色の濃い飲食の直後は水で軽くゆすぐ/ストロー活用
- 週1回の染め出しで磨き残しを可視化して改善
- 知覚過敏があれば低刺激ペーストやフッ化物を活用
まとめ:相場の見方と賢い選び方
PMTCは原則自費で、1回5,000〜15,000円前後が目安です。初回検査やオプションの有無で合計額は変わるため、時間・工程・追加費を項目別に確認しましょう。歯周病治療としての処置は保険適用の可能性があるため、診断と区分を歯科側に説明してもらうと安心です。
年間コストは、低リスクで1.4万円前後、中リスクで3万円台、高リスクで5万円前後のイメージが一例です。ホームケアの質を高め、リスクに応じた頻度設計を行うことで、費用を抑えつつ健康と清潔感を長く維持できます。
よくある質問(FAQ)
PMTCの費用や保険適用について、初診の方から特によくいただく質問をまとめました。相場感だけでなく、見積の見方や節約のコツも確認できます。
なお、最終的な金額や適用区分は、検査所見や医院のメニュー構成で変わります。ここでの回答は一般的な目安です。予約前に必ず書面での見積と説明を受けてください。
Q. PMTCは保険適用になりますか?
Q. 1回あたりの費用相場はどれくらい?
Q. 初回は高くなると聞きました。なぜ?
Q. 保険治療(歯周治療)とPMTCを同日に受けられますか?
Q. 見積で必ず確認すべき内訳は?
Q. 費用を抑えつつ効果を高めるには?
Q. クレジット分割やデンタルローンは使えますか?