ドラッグストアには「ホワイトニング」「白い歯へ」とうたう歯磨き粉が何十種類も並んでいます。数百円から二千円台まで価格の幅も広く、どれを選べばいいのか分かりにくいのが実情です。そして多くの人が抱く疑問がこれです――市販の歯磨き粉で、歯は本当に白くなるのか。
先に結論を書きます。市販の歯磨き粉で落とせるのは歯の表面に付いた着色汚れまでです。歯そのものの色を内側から明るくすることはできません。これは製品の優劣ではなく、日本の法律上、市販品に漂白成分を配合できないためです。この違いを理解すると、何を期待して選べばよいかがはっきりします。
- 市販品でできるのは着色汚れを落として本来の色に戻すこと。もとの歯より白くはできない
- 歯の内部を漂白する成分(過酸化水素など)は、日本では市販の歯磨き粉に配合できない
- 選ぶ基準は「着色を落とす成分」と「着色を付きにくくする成分」。研磨剤の使いすぎには注意
- もとの歯より白くしたいなら、歯科医院のホワイトニングが必要になる
市販の歯磨き粉で「白くなる」とはどういう意味か
薬機法(医薬品医療機器等法)の枠組みでは、歯磨き粉のパッケージに書ける「歯を白くする」は、歯の表面に付着した着色汚れを落として、その歯が本来持っている色に戻すという意味です。もとの歯の色より明るくする、という意味ではありません。
歯科医院のホワイトニングは、過酸化水素や過酸化尿素を使って歯の内部にある色素を分解します。これらは歯科医師の管理下でのみ扱える成分で、市販品には配合できません。つまり市販品と歯科のホワイトニングは、作用する場所そのものが違うのです。仕組みの詳細はホワイトニング完全ガイドにまとめています。
市販品に入っている主な成分と役割
「ホワイトニング」をうたう歯磨き粉の成分は、役割で3つに分けると理解しやすくなります。
| 役割 | 代表的な成分 | 期待できること |
|---|---|---|
| 着色を落とす | 清掃剤(炭酸カルシウム、含水ケイ酸など)、ポリリン酸ナトリウム | 付着したステインを浮かせて除去する |
| 着色を付きにくくする | ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、PEG | 歯の表面をコーティングして再付着を抑える |
| 歯を守る | フッ化ナトリウム、ハイドロキシアパタイト | 虫歯予防や、エナメル質の補修を助ける |
注意したいのが清掃剤(研磨剤)です。着色は落ちますが、粒子が粗いものを強い力で毎日使うと、エナメル質や露出した象牙質を摩耗させることがあります。すでに知覚過敏がある人や、歯ぐきが下がって根元が見えている人は、低研磨または研磨剤無配合の製品を選んでください。歯磨き粉の選び方全般は歯磨き粉の選び方の記事も参考になります。
選ぶときの4つの基準
- 目的を着色除去に限定する。もとの歯より白くする効果は期待しない
- 研磨剤の強さを確認する。低研磨をうたう製品か、研磨剤無配合か。毎日使うものほど重要
- フッ素配合かどうか。着色対策と虫歯予防は両立できます。1450ppmまでの製品が選べます
- 知覚過敏の有無。しみやすい人は硝酸カリウムなどの配合された製品を検討する
| こんな人 | 向いている選び方 |
|---|---|
| コーヒー・お茶をよく飲む | ポリリン酸などの着色対策成分入り。研磨は低めを毎日+週数回の重点ケア |
| タバコのヤニが気になる | 市販品では落としきれないことが多い。歯科のクリーニングを併用 |
| しみやすい | 研磨剤無配合または低研磨。しみるのが怖い人向けの記事へ |
| もとの歯より白くしたい | 市販品では届きません。歯科のホワイトニングを検討 |
使い方で差が出るポイント
同じ製品でも、使い方で結果は変わります。まず力を入れすぎないこと。研磨剤入りの歯磨き粉を強い力で使うと、着色は落ちてもエナメル質を削ってしまい、かえって着色が付きやすい表面になることがあります。
次に着色の原因を減らすこと。コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどを摂ったあとに水で口をゆすぐだけでも、付着量は変わります。歯磨き粉に期待するより、この習慣のほうが効くこともあります。
そしてすすぎすぎないこと。フッ素配合の製品なら、すすぎは少量の水で1回にとどめると口の中にフッ素が残りやすくなります。
市販品では届かないケース
次のような場合、市販の歯磨き粉をどれだけ変えても変化は出ません。原因が表面の着色ではないからです。
| 状態 | 必要になる対応 |
|---|---|
| 加齢による黄ばみ | 歯科のホワイトニング。方法別の持続期間の比較を参照 |
| 差し歯・詰め物の変色 | 薬剤では白くなりません。人工物とホワイトニングの記事へ |
| 薬剤による重度の変色 | 歯を白くする方法の記事で選択肢を整理しています |
| 歯石の付着 | 歯磨きでは取れません。歯科で除去が必要です |
まとめ
市販のホワイトニング歯磨き粉は、着色汚れを落として本来の色に戻すための製品です。もとの歯より白くする力はなく、それは法律上の制約によるものです。着色対策としては十分に価値がありますが、期待する結果が「今より明るい歯」であれば、歯科医院のホワイトニングを検討してください。判断に迷うときはエリアから歯科医院を探すから相談できます。
よくある質問
- Q市販のホワイトニング歯磨き粉で歯は白くなりますか?
- A
歯の表面に付いた着色汚れを落として、本来の色に戻すことはできます。ただし、もとの歯より明るくすることはできません。歯の内部を漂白する成分は市販品に配合できないためです。
- Qなぜ市販品には漂白成分が入っていないのですか?
- A
過酸化水素などの漂白成分は歯科医師の管理下で使うものとされており、日本では市販の歯磨き粉に配合できません。海外製品を個人輸入する場合は、成分や安全性の確認が自己責任になります。
- Q研磨剤入りは避けたほうがいいですか?
- A
一概に避ける必要はありません。着色除去には有効です。ただし強い力で毎日使うと歯を摩耗させることがあるため、力を入れず、知覚過敏がある場合は低研磨や研磨剤無配合を選んでください。
- Q毎日使えば少しずつ白くなりますか?
- A
着色が落ちきるまでは変化を感じられますが、本来の色まで戻ったらそこで頭打ちになります。それ以上は市販品では変わりません。
- Q海外製のホワイトニング歯磨き粉はどうですか?
- A
漂白成分を含む製品もありますが、日本国内で市販が認められていないものは自己責任での使用となります。濃度や使用方法によっては歯や歯ぐきを傷めることがあるため、歯科医師に相談してください。
- Q歯科のホワイトニングとどちらが安いですか?
- A
歯磨き粉のほうが安価ですが、目的が違います。着色除去なら市販品、もとの歯より白くしたいなら歯科という使い分けになります。費用はホワイトニングの費用相場の記事を参照してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療方針を示すものではありません。症状や不安がある場合は歯科医院で相談・受診してください。