ホワイトニングを考えるとき、見落とされがちな前提があります。薬剤で白くなるのは天然の歯だけだということです。差し歯、被せ物、詰め物、銀歯は、どれだけ薬剤を作用させても色が変わりません。
これを知らずに施術を受けると、天然歯だけが白くなり、人工物の色が浮いて目立ってしまうことがあります。この記事では、人工物がある場合にどういう順序で進めればよいかを整理します。
- ホワイトニングの薬剤が作用するのは天然歯のみ。人工物は色が変わらない
- 施術後に人工物だけが浮いて見えることがある
- 正しい順序は天然歯を白くする → 色が安定してから人工物を作り替える
- 銀歯を白くしたい場合はホワイトニングではなく、素材の交換になる
白くなるもの・ならないもの
理由はシンプルで、ホワイトニングの薬剤は歯の内部にある有機質の色素を分解するものだからです。セラミックやレジン、金属にはその色素がないため、作用のしようがありません。
| 素材 | ホワイトニングの効果 | 白くしたい場合の対応 |
|---|---|---|
| 天然歯 | 白くなる | ホワイトニング |
| コンポジットレジン(白い詰め物) | 変わらない | 詰め替え |
| 差し歯・被せ物(クラウン) | 変わらない | 作り替え |
| 銀歯(金属) | 変わらない | セラミックなどへ交換 |
| セラミック | 変わらない(着色は落とせる場合あり) | 必要なら作り替え |
進める順序が重要
人工物がある場合、順序を間違えると費用が無駄になります。正しい流れは次のとおりです。
| 順 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 天然歯のホワイトニングを行う | 先に目標の白さを決めるため |
| 2 | 色が落ち着くまで待つ(1〜2週間程度) | 直後は色が不安定で、正確な色合わせができない |
| 3 | その色に合わせて人工物を作り替える | 天然歯と人工物の色を揃えられる |
人工物を先に作ってしまうと、あとからホワイトニングをしたときに人工物だけが暗く見えます。作り替えには追加の費用がかかるため、ホワイトニングの予定があるなら、最初に歯科医師へ伝えておくことが大切です。
銀歯を白くしたい場合
銀歯はホワイトニングの対象外です。白くしたい場合は、セラミックやハイブリッドレジンなどへ素材を交換することになります。保険が使える範囲と自費になる範囲があるため、事前の確認が必要です。銀歯とセラミックの比較記事とセラミックの保険適用の記事にまとめています。
前歯だけホワイトニングしたい場合
「前歯だけ」という希望はよくあります。技術的には可能ですが、注意点があります。奥歯との色の差が出て不自然に見えることがある点、そして前歯に差し歯や詰め物が入っている場合は、その部分だけ色が変わらない点です。上下左右の見える範囲をどこまでにするかは、施術前に歯科医師と相談して決めてください。
なぜ「1〜2週間待つ」必要があるのか
ホワイトニング直後に人工物を作り替えないほうがよい理由は二つあります。
一つは色が安定していないことです。施術直後は歯が一時的に白く見えやすく、その状態で色を合わせると、落ち着いたあとに人工物だけが浮いてしまいます。
もう一つは接着への影響です。ホワイトニングの薬剤は分解の過程で酸素を発生させ、それが歯の表面にしばらく残ります。この状態で詰め物を接着すると、本来の接着強度が出にくいことが知られています。時間をおくことで酸素が抜け、しっかり付くようになります。
この2つの理由から、多くの医院では施術後1〜2週間ほど空けてから色合わせと作り替えを行います。急いでいる場合でも、この期間は確保したほうが結果的に無駄がありません。
カウンセリングで確認しておくこと
- 口の中に人工物が何本あるか、どの位置か。前歯に1本でもあれば計画が変わります
- 作り替えが必要になる可能性と、その費用。ホワイトニング代とは別にかかります
- 色合わせのタイミング。ホワイトニング後どれくらい待つのか
- 保険が使える部分があるか。部位や素材によって変わります
人工物の作り替えは1歯あたり数万円からになることが多く、本数によっては総額が大きく変わります。事前に見積もりを出してもらってください。費用の目安はセラミックの費用の記事にまとめています。
まとめ
ホワイトニングで白くなるのは天然歯だけです。人工物がある場合は、天然歯を白くしてから人工物を作り替えるという順序を守ってください。逆にすると作り直しの費用が発生します。口の中に詰め物や被せ物がある人は、カウンセリングの段階でその位置と本数を確認してもらいましょう。エリアから歯科医院を探すから相談先を探せます。詳しい仕組みはホワイトニング完全ガイドへ。
よくある質問
- Q差し歯もホワイトニングで白くなりますか?
- A
なりません。薬剤が作用するのは天然歯の内部にある色素です。差し歯を白くしたい場合は作り替えになります。
- Q詰め物(レジン)はどうですか?
- A
同じく色は変わりません。天然歯が白くなると詰め物だけが目立つことがあるため、ホワイトニング後に詰め替えるのが一般的です。
- Q銀歯を白くする方法はありますか?
- A
ホワイトニングでは白くできません。セラミックなどの白い素材へ交換することになります。保険適用の可否は状態と部位によって変わります。
- Q人工物があるとホワイトニングは受けられませんか?
- A
受けられます。ただし人工物の色は変わらないため、施術後に作り替えが必要になる可能性を理解したうえで進めてください。
- Q作り替えの順序を間違えるとどうなりますか?
- A
人工物を先に作ると、後からホワイトニングをしたときに色が合わなくなります。もう一度作り替える費用がかかるため、順序は事前に相談してください。
- Qセラミックの着色は落とせますか?
- A
表面に付いた着色であればクリーニングで落とせる場合があります。ただし素材自体の色は変わりません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療方針を示すものではありません。症状や不安がある場合は歯科医院で相談・受診してください。