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生活習慣・機能改善

いびきは歯医者で治せる?スリープスプリントの効果

生活習慣・機能改善 いびきは歯医者で治せる?スリープスプリントの効果 みんなの歯科navi

「いびきがうるさい」と家族に言われたとき、多くの人はまず耳鼻科や睡眠外来を思い浮かべます。歯科が選択肢に入ることはあまり知られていませんが、実はいびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸には、歯科で作る口腔内装置(スリープスプリント)が使われることがあります。

この記事では、いびきが起きる仕組みから、スリープスプリントがどう作用するのか、どんな人に向いていて誰には向かないのか、費用と保険適用の条件、そして市販のいびき防止グッズとの決定的な違いまでを整理します。あわせて、受診の順序についても触れます。

この記事の要点
  • いびきは気道が狭くなって粘膜が振動する音。原因は一つではない
  • スリープスプリントは下顎を前方に保持して気道を広げる装置
  • 医科の診断が先。睡眠時無呼吸と診断されれば、紹介状により保険で作製できる
  • 市販のいびき防止マウスピースとは、適合も安全性の担保も異なる

いびきはなぜ起きるのか

いびきは、睡眠中に空気の通り道(気道)が狭くなり、そこを通る空気で粘膜が振動して生じる音です。眠ると全身の筋肉がゆるみ、舌やのどの奥の組織が後方へ落ち込みます。仰向けで寝ると重力の影響でさらに狭くなります。

図解 気道が狭くなる仕組みと装置の働き
装置なし 舌が後方へ落ち込む

装置なし:気道が狭い

装置あり 下顎を前方に保持

装置あり:気道が広がる

スリープスプリントは下顎を前方に保持することで、舌の落ち込みを抑えて気道を確保します。

気道が狭くなりやすい要因はいくつもあります。

要因内容
肥満首まわりの脂肪が気道を圧迫する
骨格下顎が小さい・後退していると、もともと気道が狭い
鼻の通り鼻炎や鼻中隔の問題で口呼吸になる
扁桃・アデノイドとくに子どもで気道を狭める原因になる
飲酒・疲労筋肉のゆるみが強まり、いびきが出やすくなる
加齢のどまわりの筋肉が緩みやすくなる
いびきに関わる主な要因

日本人は欧米人と比べて下顎が小さい傾向があるとされ、太っていなくてもいびきをかく人がいるのはこのためです。骨格が関わる場合、痩せても改善しないことがあります。

単なるいびきと、注意が必要ないびき

音の大きさだけが問題なのであれば、周囲への影響にとどまります。しかし、呼吸が止まっている場合は別の問題です。

  • いびきが途中で止まり、しばらくして大きな音とともに再開する
  • 日中に強い眠気があり、会議中や運転中に眠くなる
  • 朝起きたときに頭痛がある、熟睡感がない
  • 夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる
  • 血圧が高いと指摘されている

これらに当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。この場合、最初に受診すべきは歯科ではなく医科(呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠外来など)です。検査で重症度を判定してから、適した治療法が選ばれます。

スリープスプリントとは

スリープスプリント(口腔内装置・OA)は、上下の歯にはめるマウスピース型の装置です。下顎を通常より数ミリ前方に保持した状態で固定することで、舌が後ろへ落ち込むのを防ぎ、気道を確保します。

項目スリープスプリントCPAP(シーパップ)
方式下顎を前方に保持して気道を広げる機械で空気を送り込み気道を開く
適応いびき、軽度〜中等度の睡眠時無呼吸中等度〜重度の睡眠時無呼吸
携帯性小さく持ち運びやすい装置と電源が必要
費用保険適用で3割負担1万円前後保険適用で月額数千円のレンタル
作製・導入歯科で型取り。1〜2週間で完成医科で処方・貸与
口腔内装置とCPAPの比較

装置の種類や選び方はいびき治療に使うマウスピースの種類と選び方、効果の程度についてはいびき治療で使う口腔内装置の効果はどのくらい?で解説しています。

向いている人・向かない人

向いている向かない・注意が必要
いびきが主な悩みである重度の睡眠時無呼吸と診断された
軽度〜中等度の睡眠時無呼吸歯が少ない、支えになる歯が不足している
CPAPが合わない・続かない重度の歯周病がある
出張や旅行が多い顎関節に痛みや強い症状がある
装置を毎晩つけられる鼻づまりが強く口呼吸しかできない
スリープスプリントの適応の目安

装置は歯にはめて力をかけるため、支えとなる歯と歯ぐきが健康であることが前提です。歯周病が進んでいる場合は、先にそちらの治療が必要になります。歯周病については歯周病とは?初期症状から重症化までの流れを徹底解説をご覧ください。

費用と保険適用の条件

ここが分かりにくい部分ですが、整理すると単純です。

状況保険費用の目安
医科で睡眠時無呼吸と診断され、紹介状がある適用される3割負担で1万円前後
診断がなく、いびき対策として希望する適用外3〜10万円程度
スリープスプリントの費用(医院により異なります)

つまり、保険で作りたい場合は医科の受診が先になります。いきなり歯科に行っても、診断がなければ自費になります。検査は自宅でできる簡易検査から始められることが多く、必要に応じて入院での精密検査に進みます。費用の詳細はマウスピースを使ったいびき治療の費用と効果をご覧ください。

市販のいびき防止グッズとの違い

ドラッグストアやインターネットでも、いびき防止をうたうマウスピースが売られています。しかし歯科で作るものとは、性質が大きく異なります。

項目歯科で作製市販品
適合歯型を取り、1本ずつ合わせるお湯で軟化させて自分で成形する
前方移動量症状に応じて調整・段階的に変更できる固定。調整できないことが多い
安全性の確認顎関節・歯周組織の状態を診てから作る本人の判断のみ
不具合への対応調整・再作製ができる買い替えるしかない
費用保険適用なら1万円前後数千円
歯科製と市販品の違い

合わない装置を長期間使うと、噛み合わせが変化する、顎関節に負担がかかるといった問題が起こることがあります。安価に見えても、後から治療が必要になれば結果的に高くつきます。詳しくはいびき防止マウスピースの市販品と歯科治療の違いをご覧ください。

装着による変化と注意点

使い始めには、次のような変化が出ることがあります。多くは一時的ですが、続く場合は調整が必要です。

  • 朝起きたときに噛み合わせがずれた感じがする(通常は日中に戻ります)
  • 顎や歯に違和感・だるさがある
  • だ液が増える、口が乾く
  • 装置が外れている、外してしまっている

また、装置は毎日洗浄し、乾燥させて保管します。定期的な受診で、装置の状態と口の中の変化を確認してもらってください。装置を入れたからといって、体重や飲酒などの要因への対応が不要になるわけではありません。

子どものいびきは扱いが違う

子どものいびきは、大人とは原因も対応も異なります。扁桃やアデノイドの肥大が関わることが多く、その場合は耳鼻咽喉科での対応が中心になります。成長期の子どもでは、睡眠の質が発育や日中の集中力に影響することもあります。

また、口呼吸が習慣化すると歯並びや顎の成長に影響することがあります。詳しくは子どものいびきは要注意?原因と歯科での治療法、子どものアデノイド肥大といびきの関連性、子どもの口呼吸は歯並びに影響する?改善法まとめをご覧ください。高齢の方の場合は高齢者のいびきと歯科治療の関係もあわせてご確認ください。

まとめ

いびきは気道が狭くなって起きる音で、歯科で作るスリープスプリントは下顎を前方に保持して気道を確保する装置です。いびきや軽度〜中等度の睡眠時無呼吸に用いられ、医科の診断と紹介状があれば保険で作製できます。

大切なのは受診の順序です。呼吸が止まっている疑いがあるなら、まず医科で検査を受けてください。単なるいびきなのか、治療が必要な状態なのかで、選ぶべき手段が変わります。歯ぎしり用のマウスピースとは目的が違う点にも注意してください(歯医者で治せる歯ぎしりとマウスピース治療)。相談先はエリアから歯科医院を探すから探せます。

よくある質問

Q
いびきで歯科に行ってもよいのですか?
A

相談は可能ですが、呼吸が止まっている疑いがある場合は、まず医科(呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠外来)での検査が先になります。診断を受けたうえで紹介されると、歯科での装置作製に保険が適用されます。単なるいびき対策として希望する場合は自費です。

Q
どのくらい効果がありますか?
A

効果には個人差があります。骨格や肥満の程度、無呼吸の重症度によって結果が変わるため、全員に同じ効果が出るとは言えません。効果を確認するため、装着後に再検査を行う場合があります。改善が乏しい場合は、ほかの治療法への変更が検討されます。

Q
歯ぎしり用のマウスピースと同じものですか?
A

違います。歯ぎしり用のナイトガードは歯を守るための装置で、下顎を前方に動かす設計にはなっていません。いびき用は気道を確保するために下顎を前方に保持します。目的が異なるため、代用はできません。

Q
市販のいびき防止マウスピースではだめですか?
A

おすすめできません。歯型に合っていない装置を毎晩使うと、噛み合わせの変化や顎関節への負担が生じることがあります。また、無呼吸があるかどうかを確認しないまま使うと、必要な検査や治療が遅れます。保険が適用されれば費用差も大きくありません。

Q
装置をつけると噛み合わせが変わりませんか?
A

朝起きたときに一時的なずれを感じることがありますが、多くは日中に戻ります。長期間の使用で変化が生じる可能性は指摘されているため、定期的に受診して噛み合わせと顎関節の状態を確認してもらうことが大切です。違和感が続く場合は調整を受けてください。

Q
痩せればいびきは治りますか?
A

肥満が主な要因であれば、減量で改善することがあります。ただし、下顎が小さいなど骨格が関わる場合は、痩せても変わらないことがあります。どの要因が大きいかは検査で判断されるため、自己流の対策だけで済ませず一度相談してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療方針を示すものではありません。効果や適応には個人差があり、保険の取り扱いは診断内容によって異なります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関で相談・受診してください。

なお、いびきに用いるスリープスプリントは下顎を前方に出した位置で固定する設計のため、顎関節に負担がかかることがあります。名称が似ていますが、顎関節症の治療で使うスプリントとは目的も形も別の装置です。違いは顎関節症のスプリント(マウスピース)治療|効果・費用・保険で整理しています。装着中に顎の痛みや口の開けにくさが出た場合は顎関節症とは?もご確認のうえ、作製した医療機関にご相談ください。

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